アメリカに引っ越す前に #2

[アメリカのビザ その2]

 さて、前回のエントリーでビザの種類が色々あるということをとてもざっくり
 説明しましたが、もう少し噛み砕いて書いてみたいと思います。

 1.学生に関するビザ
  Fビザ(F-1、F-2) : 大学、Community College、語学学校に通う学生
  Mビザ(M-1、M-2) : 語学学校以外の専門学校に通う学生(美容、デザインなど)

 ・学生ビザは基本この二つのどちらかです。学校から入学許可証(I-20)を
  もらってビザの申請を進めることになります。

 2.駐在員に関するビザ
  Lビザ(L-1A、L-1B、L-2) : 企業内転勤者(管理者、もしくは専門知識を有する)
              会社が大きい場合はブランケットLビザというもの
              もある
  Eビザ(E-1、E-2、E-4) : 貿易業者(E-1) もしくは投資家(E-2)の二つ、
             基本的にはまず会社がEビザカンパニーとして条件を
             満たすことが認められた後に、E-1、E-2ビザを申請
             することになります。
              (会社が一定額以上をアメリカに投資している=E-2)
  Hビザ(H-1B、H-4) : 高度な専門知識が必要な分野の特殊技能職

 ・会社員として転勤する、もしくはアメリカの大学を卒業後そのままアメリカで
  就職する場合は基本この3つのビザのどれかを取ることになります。
  ブランケットLビザ、E-1やE-2ビザを転勤、もしくは入社する先の会社が既に
  持っている場合は、枠を使いきっていない限りは比較的スムーズにビザを
  取れる可能性が高まります。

  一方でL-1B、H-1Bビザは、”L-1B=専門知識を有する” もしくは
  ”高度な専門知識が必要な分野の特殊技能職”、というところがポイントで、
  アメリカ人を雇わずに、わざわざ日本人にビザを発給してアメリカで働いて
  もらわないといけない(=つまり、一人分のアメリカ人の雇用機会を奪う)点を
  アメリカ移民局(USCIS)に認めてもらう必要があります。
  実際に自分がL-1Bを取ろうとして苦労したところも、
  この”専門知識を有する”をどうやって立証するかというところでして、
  エンジニアではあっても過去に特許や論文を会社業務の中で出していなかった
  ので、会社で契約した移民弁護士とも相談し、一度申請書類を作りましたが、
  移民局から追加の書類を求められる(=専門性を一度で認めてもらえなかった)と
  いう結果になり、1年近くビザ取得でうまくいかない日々が続きました。

  その点H-1BはL-1Bに比べて専門知識を認められるハードルが少し易しく、
  年間に約13万人分という応募枠の制限はありますが、この応募枠に受かること
  さえ出来れば、移民局の審査を通る確率は高くなります。L-1Bが取れなくても
  H-1Bビザの抽選にも平行して申し込んでいたので、応募枠に運良く当選して
  今、アメリカで駐在員として働けています。

  アメリカの大学を卒業してそのままアメリカで就職する場合、会社が大きい
  場合は、LビザやEビザなどの可能性もありますが、一方でスタートアップなど
  まだ規模が小さい会社に就職を希望している場合、会社にビザ申請を
  スポンサーしてもらう(ビザ申請費用を出してもらう)ことを考えると、
  その対価に見合うSpecialty(専門性)をいかに会社に認めてもらって、ビザを
  申請する手続きに進められるかがポイントとなるでしょう。

 次回以降のエントリーでは、ビザが取れた後に日本でどんなことを準備して
 おくと良いか書いてみたいと思います。